雅なお座敷遊びー投扇興

NPO法人江戸連さま主催 投扇興の会

みなさんは、「お座敷遊び」を体験したことはありますか?


先日、NPO法人江戸連さま(今年2月の江戸連講に登壇させていただきました)主催の投扇興の会へ参加させていただきました。

中国の「投壺(とうこ)」にルーツをもつとされる、江戸時代に生まれた日本の伝統的なお座敷芸、投扇興。
蝶と呼ばれる駒をめがけて扇子を投げ、落ちた蝶と扇子で形づくられる型(銘)の美しさを競います。

私は投扇興ルーキーでしたので、江戸連メンバーである大ベテランの先輩方に、いろいろとコツを教えていただきました。

阿佐ヶ谷地域区民センターの和室をお借りして。
このような距離から、扇子を投げます!

先ほどまでワイワイと雑談をしていらした皆さんが、毛氈の上に座った瞬間スッと真剣な眼差しになる。
ピリリと走る緊張感。
真っすぐ手を伸ばし、扇子をヒラリととばす。
オーディエンスの目線は扇子の軌道を追う。
扇子がその胸に飛び込んでくるのを待つ蝶。
そして…

「「「お~~っっっ👏✨」」」
沸き起こる歓声!!!

真剣に勝負し、全力で楽しむ。
これが江戸連さまの投扇興のモットー。
そしてそれは、まさしく江戸時代でも同じであったのでしょう。

扇子を投げる姿勢は正座。おしりがかかとについていれば、いくらでも前かがみになったり腕を伸ばしたりしてOK。
つまり…腕が長ければ長いだけ有利なのです。

型(銘)の名は、百人一首の歌に見立てられています。例えばこちら…↓↓↓

蝶が立っています。

こちらは「早蕨(さわらび)」という型。
なお、この日に私がとった最高得点の型です。とても基本的な型です(笑)
それでも、蝶が落ち毛氈の上に立った瞬間には、思わず「ヤッタ~!」と声を上げてしまいました♪

配点の仕方は比較的自由のようで、団体やグループによって違うこともあるとか。
より面白くするために、独自のルールなどを設定している場合もあるそうです。

型と点数の一覧が記された銘定表を見ながら、皆さんと一緒に、「これはあの型か?違う、こっちじゃないか?」と話し合う時間も、場内の雰囲気が非常に熱くなる瞬間です。

そしてこちら↓↓↓が、全試合の中での最高得点の型「蓬生(よもぎう)」です✨
江戸連のメンバーの方による見事なテクニックでした!

蝶の上に扇子が寄りかかっています!

美しいですね~!👏

そしてこちら↓↓↓も高得点、「浮舟(うきふね)もどき」
蝶がもう少し真っすぐ立っていれば、完璧だそうです👀

扇子の折り目に支えられ、うまく立っています!
…が、あくまで「もどき」。
しばしば、銘定表に載っていない型も出ることがあります。
そんな時は柔軟に、ちょっと減点するなどします。

「もどき」といえども、これはこれで風情がありませんか?
まるで、荒波にもまれる舟のような…。

このように、扇子と蝶だけで様々な情景を思い浮かべることができるのも、投扇興の大変面白く粋なところです。

江戸連さんは、投扇興をトーナメント戦で行っていらっしゃいます。
私はビギナーズラックで、2回戦まで進出♪
優勝にはまだまだ程遠いですが、ナント「結構素質がある」とのこと。
もちろん、先輩方のご指導のおかげなのですが、嬉しや嬉しや🌸

こちらはまだまだ腕を伸ばし切れていない状態。
もっと伸ばしていいのだそう。
無理やりとばそうとしてもうまくいかない…。
ふわりと空気の流れに任せるようにすると、とびます。



特訓してみようと思います!

投扇興を体験してみて感じたのは、「お酒が飲みたくなる」ということ(笑)
つまり、まさにお座敷遊びとして、すさまじく完成度の高いゲームである、ということなのです。

無駄なことは一切なく、全ての動きが美しい。
真剣さと笑いのバランスも絶妙。
これは酒宴との相性が抜群ではありませんか。

私の研究対象である江戸期吉原遊廓でも、きっとこの投扇興で盛り上がったシーンがあったことでしょう。

さて、2025年のNHK大河ドラマ『べらぼう』では、吉原で生まれ育った、版元・蔦屋重三郎にスポットライトが当てられます。
投扇興が始まったとされるのが江戸中期ですから、ちょうど蔦重が活躍していた時期とも重なるわけです。

『べらぼう』では、投扇興で遊ぶシーンが出てくるでしょうか?
その点も楽しみですね✨

江戸連の皆さま、あたたかくお仲間に入れてくださり、誠にありがとうございました!
また伺いたいと思います🔥

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