アンデルセン『絵のない絵本』全話の解説とあらすじ❾《第26夜〜第28夜》

アンデルセン『絵のない絵本』全話の解説とあらすじ❾《第26夜〜第28夜》

全33話もくじ一覧はこちら

『絵のない絵本』のさし絵入り本5選

『絵のない絵本』モチーフにしたアクセサリー

 

《第26夜》煙突掃除の男の子

まだ、町のどの煙突からも煙はひとすじも立ち昇ってはいない明け方のこと、月が眺めていたひとつの煙突から、ちょうど煙突掃除の男の子がヒョコッと頭を出しました。

次に、彼は体を半分出すと「ばんざーい」と叫びます。生まれてはじめて煙突をくぐり、てっぺんまで登り顔を出すことが出来たからでした。

デンマークには、まだ煙突のある家が多く残っていて、煙突の掃除夫はダブルの上衣にシルクハット姿で仕事をしているそうです。

アンデルセンは、他に「羊飼いと煙突掃除」など、煙突掃除夫が登場する作品を書いています。

《第27夜》中国の若い僧侶と娘

どの家も窓を閉ざしている真夜中、あるお寺だけは中からおぼろげな光がもれています。

中には、仏像が祀られた祭壇の前に若い僧がひとり座っていました。

ここでは「神々の長フー」の像、と書かれていますがブッダのことだと思われます。

アンデルセンは東洋に関して深い知識がなかったため、ブッダの中国語読みを誤ってフーと書いたと言われています。

この章の話は珍しく、2人の登場人物に名前がついています。人名が出て来る他の話のように歴史上の人物という訳でもなさそうです。

若い僧はスイ・ホンという名前です。仏像の前で祈祷の最中だったようですが、途中で考えごとにふけり始めます。

彼はこの町のはずれに住む細くいたずらっぽい目と小さな足をした、愛らしいぺーという娘のことを考えていました。

「足は小さな靴で締め付けられていた」
とあるので、纏足の風習を指していると思います。

ペーの方も、その時ガラス鉢で飼っている金魚を眺めながら、お寺に住むスイ・ホンののことを思っていました。

「二人の間にはわたしの冷たい光が、大天使の(ケルビム)の剣のように
遮っていました」と再び聖書に基づく描写が出てきます。

ケルビムは、アダムとイブが追い出された後にエデンの園の番人になった、知の天使と言われる天使のことです。

「回転する炎で出来た剣」を持っているらしいです。何かすごい強そう。

アンデルセンはこの剣を、夜空の半月の光にたとえています。

《第28夜》海を渡る白鳥

海はエーテルの光のように眩しくきらめき…との描写が出てきます。

エーテルはアンデルセンの時代に、光を伝えるために宇宙に満ちていると信じられていた気体のことです。実際には存在しません。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です