アンデルセン『絵のない絵本』全話の解説とあらすじ❽《第23夜〜第25夜》

アンデルセン『絵のない絵本』全話の解説とあらすじ❽《第23夜〜第25夜》

全33話もくじ一覧はこちら

 

『絵のない絵本』のさし絵入り本5選

『絵のない絵本』モチーフにしたアクセサリー

 

《第23夜》チロルの山の上の尼僧院

チロルにある小さな尼僧院の話。

チロルはアルプス東部の地方で、1834年にイタリア旅行の帰りにチロルを通ったアンデルセンは、その風景に感動したと日記に書いています。

月の明かりは聖クリストファと聖フロリアンという3世紀頃のカトリックの聖人の、彫像や建物の壁に描かれた彼らの姿を照らします。

聖クリストファは船や巡礼者、自動車の運転手などを守ってくれるとされています。

また、聖フロリアンの方は水難や火災から守ってくれる聖人なので、燃え上がる家に水を注いでいる姿が像になっています。

これらを見おろす山肌の上に小さな尼僧院が建っていて、若い2人のシスターが塔に登り鐘を鳴らします。

《第24夜》ベアテルと糸車と

コペンハーゲンの、あるみすぼらしい家の中で、男の子が真夜中に母親の糸紡ぎ車をこっそり回し始めます。

昼間に糸紡ぎ車に触ると母親に叱られるのです。

一所懸命に糸車を回すその姿は、とても可愛らしいものでした。

けれど、気配に気づいて目を覚ました母親は第22夜でも出てきた小人のニッセか、何かの妖精かと思い、怖がって隣で眠っている夫を起こします。

起こされた父親はせっせと糸車を回している小人をじっと見つめて、

「あれはおまえ、息子のベアテルじゃないか!」
と言いました。

月の眼差しは、このコペンハーゲンの小さな家からバチカンとエジプトに移ります。

神々の大理石像が並んでいるバチカン宮殿の大広間や、ナイルの群像を覗きます。

やがて長い年月が流れ、月はある入江で大人になったベアテルの姿を見ます。
ベアテルは、お祭りのような大勢の歓声に囲まれていました。

ベアテル・トーバルセンはデンマークを代表する彫刻家です。アンデルセンはベアテルを尊敬していました。彼の肖像はデンマークの紙幣にも使われています。

月は、大人になった彼の姿を見てナイルの群像や、大理石の神々の像があるバチカンを思い出しました。

《第25夜》ロートシルト家の老婦人

フランクフルトの、世界的に有名な金融業者ロートシルト家(ロスチャイルド家)の話。

ロートシルト家は初代のマイヤーがフランクフルトで金融業を始め、その5人の息子がそれぞれヨーロッパの各地に銀行をつくり、19世紀の半ばには世界でも有数の富豪になりました。

ロートシルト家の主の母親である老婦人が、ロートシルト家の屋敷から細く暗い路上の小さな家に運ばれて中に入って行きました。

そこが、彼女の住まいでした。

もし一言彼女が言いさえすれば、どこへでも立派な家を持つことが出来ます。

彼女はこのみすぼらしい家で子供たちを生み、この家を足がかりとして、子供たちは幸運を掴みました。

もじ彼女がこの家を見捨てて他へ移ってしまったら、幸運も子供たちを見はなしてしまうと、老婦人は迷信を信じていたのでした。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です