アンデルセン『絵のない絵本』全話の解説とあらすじ❹《第12夜〜第14夜》

アンデルセン『絵のない絵本』全話の解説とあらすじ❹《第12夜〜第14夜》

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《第12夜》ポンペイと歌姫

第12夜はポンペイの話です。
ポンペイは、イタリアのナポリ湾に面した古代の都市です。

ベスビアス火山の噴火で一瞬のうちに火山灰に埋まりましたが、18世紀に城壁や神殿、円形劇場などが発掘されます。

このポンペイの見物するため、街に外国人の一団が兵士に案内されて入ってきます。

ひっそりしたポンペイの街にはナポリに駐屯している兵士たちが警備にあたり、彼らはトランプやすごろくで遊んでいます。

アンデルセンがイタリアを訪れた1834年ごろ、ナポリは両シチリア王国の首都でした。国はドイツやスイスから雇われた兵隊によって守られていたためです。

外国人の中に、歌手がひとり混じっていました。ヨーロッパ各地の都市で、大喝采を浴びるような歌姫でした。

外国人たちは円形劇場へ腰をおろし、石段の客席の一角は何千年の昔と同じように埋まりました。

歌姫は思わず立ち上がり、大昔の舞台に登って歌をはじめます。

《第13夜》批評家たちと詩人

評論家や編集者たちが数人集まり若い2人の詩人について
書評をどう書くか、議論しています。

詩人本人はその場には居らず、評論家たちは
「この詩人の作品は、少しくどいけどなかなか悪くないです」
とか
「思想が健全です、ごくありふれた考えとも言えますが」
「平凡な詩ぐらい悪いことはないよ」
とか、

「もう一人の詩人の方は、天才的だけどいささか荒っぽいですね」

「この男は、じゅうぶんにこき下ろして、少しは腹を立てさせた方が良い薬になりますよ」

などなど言い合います。

当の詩人たちはそれぞれ別の場所で、後援者に囲まれていました。

《第14夜》コウノトリと子供たち

ある百姓の家の向かいにコウノトリが巣を作り、女の子がその巣をじっと眺めています。

女の子の兄弟もそこへやって来て、彼女に
「何を見てるの?」
と聞きます。

2人は、大人から「コウノトリが今夜、小さい弟か妹を連れてきてくれるよ」と聞かされていました。女の子は、

「コウノトリが赤ちゃんを連れて来るのを見ようと思って待ってるのよ」と答えます。

けれど男の子は「コウノトリなんか、何にも連れてきやしないよ」と言い返します。「そんなら、小さい赤ちゃんはどこから来るの?」と女の子。

「神さまが連れていらっしゃるのさ」と男の子は言いました。

「神さまはね、マントの下に赤ちゃんを抱いていらっしゃるんだけど、人間には神さまが見えないんだ。だから、神さまが赤ん坊を連れてきてもぼくたちはそれが見えないのさ!」



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