アンデルセン『絵のない絵本』全話の解説とあらすじ❸《第9夜〜第11夜》

アンデルセン『絵のない絵本』全話の解説とあらすじ❸《第9夜〜第11夜》

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《第9夜》グリーンランドの裁判と葬儀

全話の第8夜では姿を見せませんでしたが、次の9夜では月はまた姿を現してくれます。

月は、グリーンランドで見た夏の夜の情景を語ります。

グリーンランドは大西洋と北極海の間にあるので、3分の1以上が氷に覆われている極寒の島です。

18世紀からデンマーク領になっています。
アンデルセンは旅行したことがあるのでしょうか?

そこに住む、毛皮を来た人々はオーロラの夜空も見慣れてしまって、それより踊って歌う方に夢中です。

ここでは裁判(というか、仲たがいの揉め事の仲裁のような感じ)の時、歌や踊りをする習慣があるようです。

月はその賑やかな情景に続けて、皮張りのテントで今際の際にある病人とその家族のことを語ります。

グリーンランドは20世紀になるまでは小舟(カヤック)を使う狩猟を中心に生活していたそうで、この章ではその頃の時代の一夜を垣間見ることができます。

《第10夜》ひとりのオールド・ミス

ひとりの老嬢(オールド・ミス)の話。
老嬢は歳とっても結婚していない女性のことです。

この老嬢は、数年前に向かいに住む同年代の女友達が亡くなってからは、外に出ることもなくなりました。

友達がまだ生きていたころ、老嬢は口癖のように

「いつか私が死んだら、一生のうちでも
したことがないような大旅行をするんだわ」

と話していました。

なぜなら彼女の家族が眠る、自分も入る予定のお墓が遠方にあるからです。
(ということは、墓参りなどはした事ないのか?)

やがて老嬢は亡くなり、その棺を馬車に乗せられ墓地に向かいます。

くる年くる年、家に中にいた彼女は死んだ今になって遮るものもない田舎道を飛ぶように走り出します。

しかし、御者の運転が荒っぽくて、老嬢の棺はなんと馬車から転がり落ちてしまいます。

しかも馬車はそれに気づかず、そのまま走り去ってしまいます。

老嬢は無事に墓へたどり着けるのでしょうか?

しかし月は、夜が明け朝焼け雲の陰に隠れてしまいました。

《第11夜》結婚式の夜

ある結婚式のお祝いが終わった夜の話。短い章です。

歌声や乾杯の声が続く華やかな時間が過ぎ、披露宴のお客たちはみんな帰っていきました。

最後に花嫁と花婿の母親たちが彼らにキスをして、部屋にはふたりだけが残されます。

部屋のカーテンは閉められていました。けれど、中からはランプの暖かな灯りが赤々と輝いて、月にはふたりの楽しそうな様子が目に見えるようでした。



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