ちょっぴり危険なインド旅行記『河童が覗いたインド』

ちょっぴり危険なインド旅行記『河童が覗いたインド』

『河童が覗いたヨーロッパ』に続いて、『河童が覗いたインド』も紹介したいと思います。

舞台芸術家であり、少年『少年H』の著者で有名な妹尾河童さんのインド旅行記です。

緻密で丁寧なイラストと手書き文字がぎっしり書き込まれた、読み応えたっぷりの一冊となっています。

イラストはすべてモノクロですが点数がとても多くほとんどのページにイラストが描かれています。

妹尾河童さんは2度ほどインドを訪れ、この本を書かれたようです。
2度目のインド旅行の計画を立てた際は、周囲に例外なく「二度と行かせたくない」と反応を返されたそうです。

おそらく衛生面や治安などの安全面の心配からもあると思いますが、いちばんの要因は妹尾河童さんが好奇心に突き動かされるまま、現地の生水を飲んだり、路上で売っている飲み物や食べ物を片っ端から口に入れたり、デリー駅構内を寝ぐらにして床で寝ている人と同じように自分も床で 寝てみたり、しているからでは…と思いました。

案の定、下痢や日射病にかかりながらも、訪れた観光名所や現地の人びとをはじめ、泊まったホテル、乗った鉄道列車の内装や俯瞰図(間取り図)を中心に、サリーの着方からインドのお弁当箱まで、滞在中に見聞きした物事を幅広くスケッチと文字に記録されています。

この本はもともと連載されていたとのことで、その期間はなんと6年に及ぶ長期連載だそうです。
それを一冊の文庫本にまとめたものですから、小さな外見に反してボリュームがすごい本です。この内容を定価590円で買えるのはお得すぎると思います。

ただし、1978年と1983年の旅行で見聞きしたものの記録なので、情報は古くなって現在とは異なるものもあると思われます。

けれどこれほど凝ったスケッチの旅行記は他になかなか無いと思いますし、泊まったホテルの部屋や乗った列車でどんな食べ物が出たかまで書かれていて、一緒に旅行している気分になれる一冊です。

しかし、インドの様々な土地を歩き渡り、その都度細密なイラストと記録を残しながら「小さな節穴から垣間見た程度で、とてもインドを見てきたなどと言えるような旅ではない」とあとがきで著者の妹尾河童さんは語っています。

インド旅行記はおびただしい数の本にが出版されていると思いますが、旅行記の面白さはどこの土地へ行ったかというような、旅行先の魅力よりも、旅人が何に注目して、どのように感じたかに左右されるように感じます。

この本の旅は2回ともたった1ヶ月半の旅行だったとのことですが、合わせて3ヶ月半の旅行でこれほど色々なものに興味を持ち、見聞きして回る妹尾河童さんに脱帽の一冊となっています。



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